合理的配慮とエビデンス

研究

2020年05月28日

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【研究室FILE】宮城教育大学の教員の独創的な研究をご紹介します。

特別支援教育講座 准教授 永井 伸幸  

 

 「見る」ということへの興味から始まり、そこから自身の見えにくさと環境のミスマッチで生活上の困難が生じているロービジョンの人がどのように視覚情報を認識しているのか、主に実験的手法を用い、文字サイズと眼球運動の関係や文字サイズの客観的評価と主観的評価の関係といったことを調べてきました。最近は、ロービジョンの人が自身のロービジョンの状態について説明できるための根拠や資料となるデータを示すことに関心が向いています。「障害者の権利に関する条約」への批准、「障害者差別解消法」の施行の時代となり、障害者は自らが直面している社会的障壁について除去を要求し、社会はそれに応える義務を負うようになりました。自らの心身の障害(このことをもって障害者なのではなく、社会が対応できていない=社会的障壁の存在が障害者を作り出している)に対して、いかに社会が適応できていないか、どのような合意的配慮が必要かというエビデンスに基づいた主張を行うことが障壁除去への近道となると言えます。それを示すことができるのが実験的手法であり、心身の障害のある人が実験に参加することで、自分と社会の間にある障壁を客観的に示すことができるでしょう。

永井 伸幸(ナガイ ノブユキ) 准教授

 障害研究における実験的手法は、かつてはいわゆる健常者と比べて「できない」ことを示す研究であるという批判を受けていたこともあります。その後は「能力を発揮できる条件(環境)がある」という環境を整えることの必要性を示す研究として行われてきました。今後は「等しく生活するために、このような合理的配慮を希望する」という根拠を示す研究となっていくのだろうかと考えています。

永井研究室の様子 2019年度ゼミ生

 永井研究室では、学生それぞれが関心を持っている、視覚障害に関する様々な事柄をテーマに研究を行っています。例えば、一般的な歴史の教科書では資料として掲載されている「家系図」が、点字教科書では表現に制約があり、省略が行われるなどして分かりにくいものになっています。そこで、触覚教材としての家系図について検討しています。また、日本各地で様々な災害が発生しており、防災意識を向上させるために様々な防災ゲームが作成されていますが、それは、視覚障害者が参加しにくいものばかりです。そこで、視覚障害者も参加しやすい防災ゲームを作成しています。このように、自分が関心を持っていることについてとことん追求できる研究室です。

 このように各自の研究テーマは様々ですが、ゼミではお互いの研究について遠慮なく意見を出し合い、他の学生の研究に無関心になることなく、協力しながら研究を進めています。

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