子ども観の社会史研究

研究

2019年03月10日

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【研究室FILE】宮城教育大学の教員の独創的な研究をご紹介します。

幼児教育講座 教授 佐藤 哲也

 
 幼児教育コースには、佐藤ゼミ(幼児教育学)、飯島ゼミ(幼児心理学)、佐々木ゼミ(障害児保育学)があります。学生の希望を踏まえて、3年進級時にゼミへの配属が決まります。3・4年生合同で、前期は火曜日4限に、後期は火曜日5限に、6号館4階でゼミが一斉に開講されます。 

 佐藤ゼミには、幼児教育の思想、歴史に関心がある学生が集まっています。今年度は「子ども観の社会史研究」をテーマに学びを深めています。私も編者を務めた『世界子ども学大事典』(2016年)と『子ども観のグローバルヒストリー』(2018年)を参考にしつつ、前期は『絵でよむ子どもの社会史』(ショルシュ著/北本正章訳)を読了しました。子どもの姿や生活を描いた近代欧米の絵画から、親子関係や子育てのありよう、躾や教育、児童労働、子どもをめぐる価値意識について考察しました。後期はアメリカ歴史学研究の泰斗ピーター・スターンズのChildhood in World History(邦訳未刊)に挑戦しています。ゼミ生たちは、「農耕社会における子ども期」「古代文明の子期」「世界宗教と子ども期」「子ども期の近代モデル」など、子ども史研究の最新成果に学びながら、西洋で発見された〈子ども期〉の理念や経験がグローバルに展開していくダイナミズムについて理解を深めています。

 

佐藤 哲也(サトウ テツヤ) 教授 

 昨今、「未来の子どもたちのために」「一億総活躍社会」「女性が輝く社会」といった美辞麗句と共に、市民が自分自身で探究すべき〈子ども像〉や〈家庭像〉〈理想の教育〉が上から目線で喧伝されています。何らの学術的ビジョンも健全な財政基盤も示し得ないまま、「幼児教育の無償化」が実施されようとしています。御用学者が吹聴する「子どもや保護者によりそう保育」「21世紀型保育」と言ったキャッチフレーズで糊塗できるほど、現代日本の保育状況は甘くはありません。
 「子どもの最善の利益」(児童の権利条約)を保障するためにも、歴史と文化の諸相から子育ての本質を見極める知性が求められています。これからの保育を担っていく学生には、子ども認識や子育ての文化や理念について、深い洞察力が必要です。若者の読書離れが危惧されていますが、学術的教養に基づいた子ども理解を劈いていこうとする努力を怠ってはならないと思っています。

佐藤哲也研究室について 佐藤哲也ゼミ第8期生一同

 私たちは哲也先生の幼児教育思想史の授業に触発されて集まりました。4年
生3名、3年生4名、他コース(初等国語)3年生1名の合計8名のメンバーです。
「身銭を切って勉強するように」という哲也先生のご指導で、資料をコピーしたり、専門書を購入して繙いたりしています。
 ゼミではレポーターが担当テキストを精読・要約して報告します。学術的なキーワードや論考の背景となる歴史的事実も調べ、ゼミ生からの質問や意見に備えます。研究室には数千冊に及ぶ学術書が集積されているので、ゼミでの議論が行き詰まった際には、それらを資料として参考にしています。
 子どもの歴史を理解するためには、政治や経済、医療や衛生、宗教や哲学の知識も求められます。研究の奥深さを実感しながら、自分たちなりの〈子ども理解〉を深めるために、歴史との対話を続けています。

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