神谷教授

教師の「ブラック」な労働に教育内容からアプローチする

教育

研究

2018年03月01日

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【研究室FILE】宮城教育大学の教員の独創的な研究をご紹介します。

保健体育講座 准教授 神谷 拓かみや たく

告発型アプローチからの脱却

最近、様々な職場の労働環境が問題にされ、政治の場でも「働き方改革」に 向けて政策が審議されています。学校 現場においても同様であり、教師の勤 務時間の長さや、指導の過程で生じて いる問題などがクローズアップされ、 その改善が求められています。  体育の分野においても、例えば、部 活動の指導時間が長いことが OECDの調査で明らかにされ、授業 の準備をするための時間が圧迫され ている実態などが示されてきました。 あるいは、運動会の場面では、巨大な 組体操によって深刻な事故が発生し ており、それを問題視しない(できな い)教師の労働環境が問題にされてい ます。  これらの「ブラック」な労働環境の 問題に、教育内容の観点からアプロー チするのが私の研究スタンスです。例 えば、先の部活動に関わる労働時間の 長さについても、部活動のもつ教育内 容が明確であれば、精神的負担を減ら すだけで無く、指導の時間を短くした り、仕事を分担したりすることができ るのではないかと考えます。組体操の 問題も、学校で実施すべき運動会の教 育目標、内容、指導方法を明確にする ことで、無意味に巨大化・高層化を追 求する実態が改善されると捉えます。

最近の研究結果

このように、教育内容の面から現状 を変えていくというアプローチは、授 業研究ではオーソドックスな方法な のですが、授業「外」の部活動や運動会 では少ないのが実状です。私の近著 『生徒が自分たちで強くなる部活動指 導』(明治図書)や、『対話でつくる 教 科外の体育』(学事出版)は、そのよう な問題意識から執筆しました。また、 このような私の専門性に基づいて、宮 城教育大学では「運動部活動の教育 学」という講義科目をつくり、大学一 〜二年生が履修するカテゴリー(選択 必修)に位置づけられています。この 授業で使われるテキスト『運動部活動 の教育学入門』(大修館)も、これまで の部活動の問題を歴史的に示し、新た な教育内容に基づいて制度設計を進 めていく文献です。  これらの本で示した知見を、大学で 学生に伝えるだけでなく、教育現場や 社会に還元することも重視していま す。可能な限りマスコミの取材に対応 し、教育委員会、教職員組合、体育・ス ポーツ団体、民間教育研究団体など で、講演やワークショップも行ってい ます。これらの取組を通して、「問題が あるのなら、やめてしまえ!」という 意見に見られる、短絡的な議論からの 脱却をめざしています。 

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