特集 宮教大×教育復興=学校防災②

教育

各種取組み

2019年03月31日

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被災に向き合い、学び、想像し、行動できる教師の育成

 近年の宮城教育大学による防災教育をはじめとする様々な取り組みをご紹介するシリーズ。今回は2回目(全2回)。1回目の記事はこちら

 

 つながる  東北大災害研との連携協定締結

 昨年3月11日には、防災未来研と東北大学災害科学国際研究所が、防災・減災及び災害復興のための教育・研究における相互連携・協力の実施に関する協定を締結しました。
 両研究機関はともに東日本大震災後新たに大学の研究組織として設置され、防災教育の実践やフォーラムの開催等の様々な交流実績があります。
 協定締結式には村松隆防災未来研センター長(現学長)と今村文彦災害研所長ら関係者が出席し、今後は国内外の防災・減災及び災害復興を推進・支援するべく、それぞれが有する研究施設や成果、人材、ネットワーク等を活用しながら、人材育成や国内外の災害の共同調査、被災地の教育支援に関する取組等を実施していくことを確認しました。

 これを受けて2018年11月7日には、東北大災害研との初の事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)訓練を合同実施しました。この訓練は、3日前から豪雨が続く中、マグニチュード7.5(仙台市内最大震度7)の地震が発生し、両大学が位置する青葉山キャンパス(標高約150メートル)に通じる3つのアクセス道路が、がけ崩れや安全点検のため通行止めとなり、宮教大においては停電の影響により電話が使えないという想定で行われました。
 東北大災害研の研究棟で、大学院生が階段から転落して負傷したとの設定で、医師・看護師が勤務している宮教大に対して、けが人の受入・応急手当の要請がなされ、搬送された模擬傷病者が診察を受ける等、応急手当訓練を行いました。
 また協定に基づき、災害研に設置された災害対策本部・調査本部に宮教大の連絡調整要員を派遣して、被害の情報収集、今後の支援調査計画の協力に関する調整を行うとともに、災害研の衛星電話を借用し、本学学生寮の被害状況の収集にあたる訓練も併せて実施しました。
 近年青葉山では、地下鉄東西線の開通、東北大農学部の移転、学生寄宿舎のオープンなど変化が著しいなか、東日本大震災を経験した二つの国立大学法人が相互に連携して防災力を向上していくことは、BCP協働のあり方を検討する一助となると考えています。

         今村文彦災害研所長(左)と
         村松隆防災未来研センター長(右)

※2013年4月には、「大規模災害等発生時における東北地区国立大学法人間の連携・協力に関する協定」が締結されている。

 

  活 か す   増加する突発的自然災害に対する広域支援
      (熊本地震、西日本豪雨、北海道胆振東部地震への支援)

 近年、日本各地で自然災害が相次いでいます。震災以降の本学の教育復
興に関する知見・経験や、蓄積された学校再開等に関する資料を活用して、
宮教大は広域に被災地間協働を展開しています。

 2016年4月に発生した熊本地震では、熊本県教育委員会と熊本市教育委員会からの要請等に基づき、同年8月28日から9月3日にかけて、学生10名を上益城郡御船町及び熊本市東区の学校に派遣し、被災の著しかった地域の学校で、児童の学習支援活動に従事しました。派遣学生らは、東北の被災地における多様なボランティア経験があります。後日、宮城県を襲った台風被害を心配した御船町立御船小学校の児童から、お見舞いのメッセージが届くなど被災地間の心の交流が続いています。

 また、ボランティア期間中には、熊本大学復興ボランティア活動支援プロジェクトの学生とも交流し、熊本地震直後から本学学生有志がキャンパスにおいて募金活動を行った際の義援金を手渡し、後日、返礼として熊本大から本学宛てに寄せ書きがされたメッセージボードが届けられました。

 さらに、平成30年7月豪雨(2018年)によって大きな被害を受けた岡山県倉敷市における学習支援ボランティアとして、岡山県教育委員会と倉敷市教育委員会と連携し、同年9月3日から9月6日にかけて、学生5名を倉敷市立箭田小学校に派遣しました。箭田小学校は、被災の著しかった倉敷市真備町にあり、水害により校舎が使用不能となったため、近隣の玉島小学校と玉島高等学校の校舎を間借りしていました。ボランティアにあたった学生は支援物資の仕分けや、新学期を迎えた児童の学習支援活動に従事すると共に、特技を活かしミニピアノ演奏会を行いました。

 「震災後すぐに何もできなかったことに、私は当時から大きな無力感と悔しさを抱えていた」と、音楽を通じて東日本大震災の被災地支援に関わったことがきっかけで、本学の教職大学院に進学した院生も今回の支援に参加しました。

 また同年9月、北海道胆振東部地震の発生後、防災未来研の教員を北海道に派遣し、支援ニーズの把握にあたらせるとともに、最も被害が大きかった厚真町、むかわ町、安平町(追分支所)の各教育委員会を訪れ、本学が作成した「教育復興実践事例集―明日の子どもたちのために」、「ちょっとたいむ/ダイジェスト版―先生たちの明日を支える情報誌」などの関連資料を提供し、村松隆学長からのお見舞いのメッセージを手交しました。

熊本大生との交流の様子 

 

  伝 え る   グローバル学校防災協力

 世界各地で災害があとを絶たない中、本学は第三期中期計画・目標において、2015年「仙台防災枠組2015―2030」及び日本政府の「仙台防災協力イニシアティブ」の指針に基づき、アジア太平洋地域諸国の教育現場に、東日本大震災の教訓を伝承・還元することを掲げています。

 2018年10月には、独立行政法人教職員支援機構と連携して、タイ王国の小・中学校の現職校長20名に対する研修の一環として、仙台市内において学校防災をテーマとする研修を実施しました。本学は、2013年からタイ教育省国立教職員開発研究所と国際交流協定を、2015年から独立行政法人教職員支援機構(茨城県つくば市)と連携協定を個別に締結しており、今回もその協定に基づいて実施されました。

 つくば市における前半の研修を経た後、宮城でのプログラムでは、震災遺構訪問後、宮教大において、マルチ画面や画面共有、電子黒板等の高度なICT技術を用いた、学校防災ワークショップを実施し、担当する学校の自然環境や地形などを踏まえた学校安全の計画を検討しました。参加者のひとりで、2004年のスマトラ沖地震によるインド洋大津波で自らも被災したというプーケット県の小学校長は、「被災経験のない若手の教員たちに、今回の研修内容を伝達し、自国の学校防災を徹底させたい」と意気込みを語りました。

「NITS未来の教室」@宮教大の大型マルチ画面を使った防災ワークショップ

 

高度な学校防災人材の育成拠点としての新たな出発

 宮教大は、震災の教訓を導き出して適切に伝承し、未来の学校の防災力を向上させることが、震災で支援していただいた世界中の方々への恩返しだと考えています。上記のように、復興支援活動で醸成した国内外のネットワークを活かし、広域的な学校防災の人材育成拠点の形成を目指しています。そして近い将来高い確率で発生が懸念されている首都直下地震・南海トラフ地震想定域を中心として、学校防災に関する人材の育成を進めていきます。

 被災体験を直接話してくれる語り部や、整備・公開が始まっている震災遺構を活用して、各地の現職教員や教育系学生に対して、実地研修や振り返りワークショップを展開します。今月には、教職大学院生が中心となって、震災遺構仙台市立荒浜小学校活用の手引きを刊行するなど、来訪型の被災地研修の多様なあり方を模索し、その効果を学術的に検証していくことで、広域拠点型国立大学としての使命を果たしていきたいと考えています。

        荒浜小学校活用の手引き書(詳細はこちら

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