p-進簡約群の超尖点的既約表現の研究

研究

2020年05月28日

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【研究室FILE】宮城教育大学の教員の独創的な研究をご紹介します。

数学教育講座 教授 髙瀬 幸一  

 

 私の研究分野を一言でいえば「保形型式の整数論」ということになるが、これでは「私の研究分野は数学である」と言うにも等しいから、もう少し細かく説明しましょう。

 近代的な保形型式論では代数体上の簡約可能代数群のアデール化上の保形表現を研究します。そのような表現は、代数体を局所化した局所体上の代数群の許容表現の制限テンソル積として実現できるから、保形型式論の基礎は局所体上の代数群の許容表現を理解する事です。局所体がアルキメデス的ならば、それは実数体あるいは複素数体であって、実または複素簡約可能リー群の表現論は既に非常に詳しく研究され、その理解も大いに進んでいます。一方、局所体が非アルキメデス的である場合には、その研究の歴史は実または複素リー群の場合と比べると未だ浅く、多くの研究課題が残されています。

 非アルキメデス的局所体 F上の簡約可能代数群の既約許容表現は適当な簡約可能代数部分群の超尖点的既約表現からの誘導表現の既約部分表現として実現できるから、問題は

 ・超尖点的既約表現を理解すること

 ・超尖点的既約表現からの誘導表現の既約成分を理解すること

に帰着されます。私の研究の主たる目的は、第一の課題である超尖点的既約表現を理解することにあります。

髙瀬 幸一(タカセ コウイチ) 教授

 ところで超尖点的既約表現は、非アルキメデス的局所体 Fのヴェイユ ­ドリーニュ群のある種の有限次元複素線形表現(これをラングランズ・パラメータと呼びます)によりパラメータ付けされることが予想されています。従って超尖点的既約表現とラングランズ・パラメータの具体的な対応関係が理解できれば、超尖点的既約表現を一応把握したことになるでしょう。そこで私の研究目標は、この対応関係を可能な限り具体的に与えることにあります。もう少し詳しく述べれば、研究は次の三つの項目からなります。

 (1)超尖点的既約表現を具体的に構成してみよう。

 (2)ヴェイユ -ドリーニュ群の有限次元複素線形表現を自然な形で構成してみよう。

 (3) (1)で構成した超尖点的既約表現のラングランズ・パラメータが (2)で構成した複素線形表現であることを検証しましょう。

 課題 (1)については、問題の簡約群に付随する有限群の既約表現をパラメーター付けする方法を確立して、その応用として一応満足のいく成果が得られています。また課題 (2)についても、課題 (1)で利用した有限群の既約表現のパラメーターからヴェイユ -ドリーニュ群の表現を自然に定義することができます。課題 (3)は具体的には平賀・市野・池田の形式的次数予想とグロス -リーダーのルート・ナンバー予想を検証するのが目標となります。形式的次数予想の検証は済んだので、現在、ルート・ナンバー予想を検証するための計算に取り組んでいるところです。

髙瀬研究室について 大学院 数学教育専修1年(2019年度) 小林正太

 高瀬研究室では『線形代数と多面体』(小林正典著)を参考に、代数幾何について研究を進めています。ゼミは各週で行われ、自分で研究を進め、何がわからないかを明確にしてからゼミに臨み、高瀬教授からマンツーマンでご指導いただくのがサイクルとなっています。

 現在までの内容としては、一章では連立方程式の構造定理から始まり、チェバ・メネラウスの定理をアフィン空間で再考し、高校での定理の証明とは違ったものを研究しました。二章ではアフィン写像について、三章では射影空間に始まりパップスの定理とデザルグの定理を射影から再考しました。

 現在四章に入り、私の主な研究テーマになる多面体について研究を進めています。これから先は、計量線形空間、群論、一般次元における正多面体とさらに研究を発展させていく予定です。

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